ぶらり歩き

14. 皇居〜靖国神社〜四ツ谷巡り                        平成20年12月20日

 大晦日を十日後に控え、寒風が吹く師走の町歩きを覚悟していたが、ありがたいことに気温が20度近くまで上がり、ウォーキング日和となる。
 JR東京駅丸の内北口で待ち合わせをして大学時代の友人5名で歩く。

 ビルの建替えが進んで様変わりした丸の内のビル街の新丸ビル日本工業倶楽部の間を進み、日比谷通りを渡って和田倉橋(写真1)に出る。現在の和田倉橋は江戸時代のままに復興された木造の橋で、裃姿の武士が大小の刀を腰に帯びて橋を渡る様子が目に浮かんでくる。橋を渡ったところは枡形石垣を形成していて、軍事的な役割をもっていたことが窺える。

 和田倉噴水公園には、地球・環境・平和をテーマとした光都東京・LIGHTOPIA2008の一環として麻生首相石原慎太郎都知事などの政治家、各界著名人、小学生の絵やメッセージが描かれた約7,000個の灯籠(とうろう)(写真2)が一面に並べられている。因みに、麻生首相は自筆で「日本を明るく」とのメッセージを灯籠に書いている。
 内堀通りを渡り、大手高麗門(こうらいもん)(写真3)から皇居に入るが、ここも大手門渡櫓との組み合わせで枡形を形成している。大手門渡櫓を潜り、鉤型の道を進むと、入場者用のプラスチック製のプレートが渡される。ただし、入場は無料である。       

写真1 和田倉橋  写真2 灯籠  写真3 大手高麗門



 
 まっすぐに歩を進めると、江戸上に登城する大名家の供者を監視する同心番所の建物がある。ここから城の奥に向かって、百人番所(写真4)大番所と配置され、同心番所より位の高い役人が監視に任務に就いたという。
 百人番所は間口の広い平屋の建物となっており、江戸城の本丸と二の丸へ通じる要所の番所である。そのため、鉄砲百人組と呼ばれた甲賀組伊賀組根来組二十五騎組が昼夜交代で詰めていたという。戦国時代において甲賀、伊賀というと忍者、根来衆は鉄砲で有名であるが、徳川時代になって徳川の本城を忠実に守る役割を担っていたわけである。因みに、百人組は組頭のもとに、与力20名、同心100名で編成されており、同心100名からこのように呼ばれていた。 百人番所から登り道を行き、中之門を通り抜けると、かつて大番所があった場所に出る。更に、登って行くと平らな本丸跡となる。本丸跡は芝生が張られ、当時を偲ぶものは何も存在しないが、かなりの広さである。
 
赤穂浪士の討ち入りで有名な浅野匠守吉良上野介に刃傷に及んだ松の大廊下跡(写真5)は背後に蓮池濠を控えており、本丸の外周を巡る廊下のようである。廊下とはいえ、畳が敷かれていて、江戸城で二番目に長い廊下であったそうである。最近では、浅野匠守が偏屈で、どういうわけか消火の訓練に熱心という変わり者の大名との説が流布し、逆に吉良上野介は領民から敬愛された名君との評価が一般化している。

 松の大廊下から天守台に向かう途中に、大奥の調度品を納めたと考えられている伊豆石で作られた約20m石室(いしむろ)(写真6)がある。

写真4 百人番所 写真5 松の大廊下跡 写真6 石室




  本丸は城の北西端に位置しており、二代将軍秀忠によって完成されるが、明暦3年(1657年)の振り袖火事で飛び火により全焼してしまい、これ以降再建されず現在に至っている。現在は、城の中で最も高い位置に平らかな土地を留めるのみであるが、四周の眺望(写真7)はすばらしく、当時、天守閣は高さ58mあったということから江戸市中を一望できたことは想像に難くない。

 天守閣裏の搦め手に当たる北桔橋(きたはねばし)でプレートを返却して、北の丸公園に出ると、武道館を取り巻く、そして列を成して武道館に向かう大勢の女性達に圧倒される。目的は韓国の若い男性歌手のコンサート観賞であることがわかり、いわゆる韓流人気のすごさを目の当たりに実感した。北の丸公園を抜けて靖国神社に参拝する。靖国神社から靖国通りに並行した道を進み、日露戦争の連合艦隊司令長官・東郷平八郎元帥の住居跡に設けられた東郷記念公園に立ち寄る。公園は三番町にあり、坂道を隔てた反対側は四番町となっているが、この境の坂は東郷坂と呼ばれている。
 
 春には桜が咲き盛る雙葉高等学校前のさくら堤の、足に軟らかい土の感触が伝わってくる堤道を楽しむ。 
 四ツ谷見附から新宿通り(甲州道中)を、日没に追われるように新宿御苑駅を目指す。途中、四ツ谷三丁目交差点にある消防博物館を見学する。江戸時代の火消し、明治から昭和にかけての消防の変遷、そして1階と地下階には実物の消防自動車が展示されており、消防自動車の変遷がひと目でわかるようになっている。
 消防博物館を出ると、外はとっぷりと日が暮れて街灯に灯がともっており、新宿御苑駅前の居酒屋に足が急ぐ。師走とは思えない暖かい好天気に恵まれたウォーキングを終え、忘年会を兼ねた打ち上げはビールで喉を潤し、地酒で大いに盛り上がる。

 忘年会の後、一人で東京駅に戻り、光都東京・LIGHTOPIA2008(写真8、写真9)でライトアップされた和田倉橋、和田倉噴水公園の灯篭の明かりを楽しむ。
 

写真7 天守台からの眺望 写真8 ライトアップされた和田倉橋 写真9 ライトアップされた灯籠 




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